オリーブ伝播の歴史

それはレバントから始まった

最近の研究で、人類の歴史で最初のオリーブ栽培は今から8千年から6千年前に中東で始まったと言われています。地中海沿岸から集めた1,263の野生種と534の栽培種など1,900以上のサンプルの遺伝子を分析したフランス国立科学研究所の研究で「オリーブの栽培は、かつてレバントと呼ばれた地域、今日のイスラエル、パレスチナ、ヨルダン、レバノン、シリアの地域で始まり、その後地中海沿岸を経て多くへ広まった」と分かってきました。

研究チームはまた遺伝子の系統を分析し、最初の地域では小さく苦い果実の木が多かったがそれがトルコとシリアの国境の地域を超えるあたりからは、オイルが多く実の大きな種類に取って変わっていることを発見しています。別な研究者は、風で飛んでいくオリーブの花粉のことも考察する必要を示唆し、オリーブの原点を探す研究は、いまだホットなテーマです。

人類の移動の歴史とともに

人類が移動する歴史とともにオリーブの栽培地も広がってきました。海上交易のフェニキア人がギリシャの島々に、ローマ帝国の拡大とともに地中海沿岸や北アフリカの地域に、コロンブスのアメリカ大陸発見で北米そして南米の地に広がっていきました。

1560年にスペインの探検隊がペルーにオリーブを持ち込み、そして1700年代初めにはスペインの宣教師団がメキシコとカリフォルニア半島にオリーブや他の果樹を持ち込みました。

アメリカでは1769年にカリフォルニア州南部のサンディゴにオリーブが持ち込まれたと言われ、その後フランシスコ会の宣教師たちが、西海岸のカリフォルニアを北上するのに合わせてオリーブの木を植えていきました。18世紀にはスペインからの宣教師たちがアメリカ西海岸のカリフォルニアの21ヶ所にオリーブの木を植えたと記録されています。1842年に南部の伝道所を訪れた宣教師は、「建てた伝道所は壊れていたが、オリーブの木々は立派に育っていた」と報告しています。

日本への伝来

日本に最初にオリーブオイルが来たのは安土桃山時代、ポルトガルの宣教師によって持ち込まれました。その後江戸時代の医師林洞海は、長崎でオランダ医学を学び、幕府の奥医師で最高位の法眼になりました。叙せられた翌年文久2年(1862年)フランスからオリーブの苗木を輸入し神奈川県横須賀に植えたのが日本最初のオリーブの木と言われています。

その後明治時代にもイタリア、フランスから苗木を輸入し、明治15年(1882年)には当時の農務省直轄の「神戸オリーブ園」で果実が収穫され、オリーブオイルが作られました。

明治41年(1908年)に農務省が缶詰に使用するオリーブオイルの自給をめざし、三重、香川、鹿児島県を指定し、アメリカから輸入したオリーブ苗木の試験栽培を行いました。香川県の小豆島で継続的に栽培が行われ、岡山、広島県に栽培が広がりましたが、昭和34年(1959年)の輸入自由化で海外から安価なオリーブオイルが輸入されるようになり、国内栽培は急速に減少しました。

オリーブ栽培が広がる

平成に入ると、健康食品への関心の高まりやイタリア料理の拡がりなどからオリーブオイルの需要が増え、それに伴って国内でのオリーブ栽培が増えるようになりました。また国内のオリーブ栽培面積の増加に伴い、苗木の海外からの輸入も2010年頃から増加し、2014年には4万本を超える苗木が輸入されています。詳しくは、後述。